人体をパッキングする膜システム
人体における組織は4種類に大きく分けられます。上皮組織、筋組織、神経組織、そして結合組織です。結合組織は身体全体に広がっており、その形、構成は様々です。骨、筋膜、腱、靭帯、滑液包、軟骨、骨膜などが結合組織に含まれます。
fascia
骨膜はその名の通り、骨幹の表面を覆うことで、骨を保護し、治癒する役割を果たしています。この骨膜は関節部の骨を支える関節包と連結し、また別の骨膜と関節包が連結するというように、人体の各組織が一体化しています。このように、人体は層構造を成す膜組織で一つにパッキングされた構造をしていると考えることができます。最近は、その中でも特に「筋膜」という言葉だけが独り歩きしている印象があります。
筋膜は英語で「fascia」と言いますが、この語は日本語訳として、狭義には筋膜ですが、広義には内臓や骨など、様々な器官を包むシート状、または帯状の組織、いわゆる膜を意味することもあります。私たちは、筋膜だけでなく、結合組織の繋がりとして、人体をパッキングしている膜のシステムを捉える必要があります。
ところで結合組織は先にも述べましたように、組織と組織を繋ぐ役割が第一に挙げられますが、その他にも多くの役割を担っています。よって私たちが行う施術においても非常に重要な知見になってきます。例えば、結合組織の中には血管や神経の通り道になっているものがあります。さらに、免疫細胞や固有受容器が存在している場合もあります。つまり、これらの働きに影響を及ぼす可能性が考えられるということです。どのように影響を及ぼすかは、結合組織の構成から考えることとします。
結合組織
結合組織は線維芽細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞といった細胞と細胞外マトリックスから構成されます。細胞外マトリックスの構成要素としては、結合組織線維、基質があります。
■結合組織線維
エラスチン線維で柔軟性を与え、丈夫なコラーゲン線維で組織が伸びすぎて損傷が起こらないように守っている。
・コラーゲン線維
白い線維。コラーゲン線維が豊富な組織はそれに対応して肉眼的には白く見える。極めて強靭で、特に線維の走行に沿って働く張力に対して抵抗が強く、伸縮性に乏しいとされる。つまり、伸び縮みはあまりしないが、引っ張られたりする力には強いと言える。コラーゲン線維には様々な種類があり、それらの線維の割合と組み合わせで腱や靭帯、筋膜など、様々な種類の組織を作り出している。
・エラスチン線維
黄色がかった色。肉眼的には黄色に見える。強度を持つ一方、弛緩した状態の1.5倍の長さまで引き延ばすことができる性質を持つ。
■基質
基質は水と種々の有機高分子を含み、その多くは多糖類と蛋白質の複雑な複合体である。多糖類にはヒアルロン酸、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸などがあり、これらを総称してグリコサミノグリカンと呼ぶ。また、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸は除く)と長い鎖状のコアになる蛋白質が結合した巨大な分子をプロテオグリカンと呼ぶ。基質に含まれる糖は、時に結合組織の柔軟性に影響を及ぼすことがあるので、理解しておきたい要素である。
結合組織は固有結合組織と特殊結合組織に、さらに固有結合組織は次の4つに分類されます。
■疎性結合組織
コラーゲン線維がまばらに配列、全体として網の目を形成し、その間には線維芽細胞や脂肪細胞が存在する。血管、リンパ管、神経などの通路でもある。組織や器官の周りを包んだり、埋めたりしており、また組織や器官の中でそれらの構成要素にもなっており、特定の形を持たない。
■密生結合組織
線維が緻密に集まり、特定の硬さと形を持つ。線維が縦横に交織して板状物を形成する場合と、線維が一定の方向に平行に緻密に並んだ索状物を形成する場合がある。
■細網組織
網目状の構造でその隙間にリンパ球などを多く含む。脾臓、胸腺など、リンパ系器官に見られる。
■脂肪組織
機械的な力に対する緩衝装置としての意義を持つだけでなく、脂肪が熱の不良導体であるので、体熱保存の機能を果たす。皮下組織、太い血管の外膜などによく発達している。
結合組織はそれを構成する結合組織線維や基質の種類、割合等によりその特性も異なることがわかりますね。特に結合組織が持つ粘性は組織の柔軟性や滑走性を左右します。ただの水野中であれば軽くかき混ぜられますが、砂糖水など粘りのあるものですと、水に比べて混ぜにくくなりますよね。このように、糖やまた線維の密度が関係しています。
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