接骨院(整骨院)・鍼灸院に来られる患者さんの症状には様々なものが見受けられます。その中でも今回は「痺れ」について注目したいと思います。
皆さんは患者さんが「痺れる」という症状を訴えられた際、どの様な事をまず考えるでしょうか?
私が一番気をつけていることは、脳梗塞です。洋食化が益々進む現代、食生活の変化で脳卒中も「血管性」のものから、「血液性」のものに移行してきており、「隠れ脳梗塞」の方が、沢山我々の施術所にも来られている可能性があります。皆さんの接骨院(整骨院)・鍼灸院でも実際、脳梗塞後遺症の片麻痺の患者様を良く見かけるようなってきてないでしょうか。
手が痺れるということで安易に施術していると、その背後に重大な原因が隠れている場合があるのです。
以前、私の所に「朝から手が痺れ、自転車も脚が言うことをきかなくて、もつれそうになったりして乗りにくい」という患者さんがやってきました。
なんかおかしいなぁ…と、思うのと同時に、ふと、以前テレビの中で見たシーンを思い出したのです。
それは、脳障害と思われる患者さんに、「前にならえ」をしてもらうと、片方の手が落ちていくという場面。そして私は、「これは脳梗塞の初期症状ではないか」と思い、そのテストを試してみることにしました。
すると、やはり片方の手が落ちていったのです。すぐ患者さんには「脳梗塞の可能性がある」事を説明し、近くの大きな病院へ行ってもらいました。診断の結果は、やはり「脳梗塞の初期」でした。それから何年か経ち、その患者様が麻痺も残らないお元気な姿でおられる姿を見、ほっと胸を撫で下ろしたのであります。
もうひとつ、「痺れ」の症状を引きおこす重要な物に、ビタミンB1の摂取不足があげられます。
皆さんは、ビタミンB1が一番多く含まれている食品は何だと思われますか?豚肉?、それとも、夏ばてに効くうなぎ?
正解はなんと、「インスタントラーメン」なのです。
何故これにビタミンB1が多く含まれる様になったのか。実は70年代、下宿生活をしているような貧乏学生が、インスタントラーメンばかりを食べて栄養失調状態となり、次々と「脚気」になったのです。そこで、製造メーカーは「これはまずい」という事で、カップラーメンにビタミンB1等を入れるようになりました。まぁ、ビタミンB1は炭水化物を熱に変えることが出来るので、麺類に入れることは更に理にかなった事と言えますね。
話はさておき、最近、特に私も含めてですが、現代は食生活がかなり乱れています。院の患者様の中でも、この様な環境下で慢性的にビタミンB1が不足されておられる方がいらっしゃるようです。
お酒を飲まれる方は、アルコールの分解の過程でビタミンB1を使用する為に、より摂取が必要になります。
ビタミンB1が不足すると脚気、代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)、ウェルニッケ脳症等になりやすく、また、慢性化するとコルサコフ症候群 、多発性神経炎、神経痛、筋肉痛、関節痛、末梢神経炎 、浮腫、心臓肥大、心筋代謝異常 、ワラビ中毒 、チャステック病など様々な症状を引き起こす原因となると言われています。
ちょっとした痺れが慢性的なビタミン不足から来ている場合があるという事も、施術者は覚えておく必要があるでしょう。
(H22.6月)