第12回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会
平成29年2月15日(水)12時30分から全国都市会館大ホールで第12回あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会が開催されました。
【議題】
1.療養費検討専門委員会における論点・主な意見・さらに議論いただきたいこと
2.不正請求等の該当なしと報告のあった後期高齢者医療広域連合の状況について
【事務局提出資料】
1.架空請求・水増し請求
架空請求・水増し請求を防ぐため、患者本人による請求内容の確認・署名を行うことについて、どう考えるか。
→架空請求・水増し請求を防ぐため、患者本人による請求内容の確認を徹底することとしてはどうか。
2.虚偽理由による保険請求
虚偽理由による保険請求を防ぐため、医師の同意と、定期的に医師が再同意する仕組みについて、どう考えるか。
→虚偽理由による保険請求を防ぐため、医師の同意と、再同意のあり方を検討することとしてはどうか。
3.長期・頻回の施術
長期・頻回の定義がない中で、1年以上週4回以上の施術について、支給申請書に施術の必要性を記載させるとともに、患者の状態を記載させその結果を分析した上で支給回数の取扱いについて検討することとされており、こうした検討を進めることにより給付の適正化を進めてはどうか。
→1年以上かつ月16回以上の施術について、支給申請書に施術の必要性を記載させるとともに、患者の状態を記載させ、疾病名と合わせてその結果を分析した上で施術回数の取扱いについて検討することとしてはどうか。
4. 往療について
往療の不正を減らすため、支給申請書に同一日同一建物に往療した場合の記載と、施術した場所を記載させる欄を設けてはどうか。
→往療料の不正を減らすため、支給申請書に同一日同一建物に往療した場合の記載と、施術した場所を記載させる欄を設けることとしてはどうか。
5.療養費の審査体制
審査体制を強化するため、審査会を設置して審査できることとすることについて、どう考えるか。
→審査体制を強化するため、審査会を設置して審査できることとしてはどうか。審査のシステム化について、どう考えるか。
6.地方厚生(支)局による指導監督
受領委任制度を導入することにより、地方厚生(支)局による指導監督を行えるようにすることについて、どう考えるか。
→受領委任制度を導入することにより、地方厚生(支)局による指導監督を行えるようにすることについて、どう考えるか。
7.施術管理者の登録・要件強化について
受領委任制度を導入することにより、施術所・施術管理者を登録する仕組みや、施術管理者に研修受講や実務要件を課す仕組みとすることについて、どう考えるか。
→受領委任制度を導入することにより、施術所・施術管理者を登録する仕組みや、施術管理者に研修受講や実務要件を課す仕組みとすることについて、どう考えるか。
8.請求方法・不正の発生
患者(被保険者)が請求するよりも、施術所等が請求(代理受領・受領委任)した方が、架空請求や水増し請求が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか。
9.給付費
施術所で患者が全額負担する(償還払い)よりも、一部負担する(代理受領・受領委任)方が、給付費が増えるとの指摘があることについて、どう考えるか。
→償還払いよりも、代理受領・受領委任の方が、架空請求や水増し請求・給付費が増えるという指摘がある一方、患者の利便性が高いことについて、どう考えるか。代理受領では、施術者以外の者も請求代行できることについて、どう考えるか。
10.患者の利便性
施術所で患者が全額負担する(償還払い)よりも、一部負担する(代理受領・受領委任)方が、患者の利便性が高いことについて、どう考えるか。
11.償還払いに戻せる仕組み
柔道整復療養費の受領委任制度について、問題がある一部の患者について償還払いに戻すことについては、今後の検討課題とされていることについて、どう考えるか。
→受領委任制度を導入した場合、問題がある一部の患者について償還払いに戻す仕組みについて検討することとしてはどうか。
12.保険者の裁量
いかなる支給方法にするかについては保険者の合理的な裁量に委ねられている。受領委任制度は保険者が地方厚生(支)局・都道府県知事に委任することが端緒とされていることについて、どう考えるか。
→いかなる支給方法にするかについては保険者の合理的な裁量に委ねられていること、受領委任制度は保険者が地方厚生(支)局・都道府県知事に委任することが端緒とされていることについて、どう考えるか。
【議論で出た意見】
〇代理受領では、資格のない請求代行業者も請求できることが問題。
〇お金の流れがはっきり見えるような償還払いの方が、不正は少なくなるのではないか。本人を通さない請求を認めるのは、穴のあいたバケツになる。
〇柔道整復と全く同じ受領委任制度を導入して欲しいと言っているわけではない。柔道整復とは患者さんの層が全く異なるとともに、医師の同意書の存在が不正な給付の抑制、適正化に寄与している。
〇受領委任を入れても、保険者がきちんと調べて、厚生局なりに情報提供をしないと動かない。行政が今やるべきことは、受領委任を検討することではなくて、保険者はもっと働けと言うことを指導していくことに尽きる。
〇保険者機能の発揮は必要だが、75歳を過ぎた者にいろいろ事情を聞くというのは困難が伴う。保険者機能の発揮に伴う人・金・時間も考えながら事業を進めていく必要もある。厚生局の指導監督権限はあればありがたいし、あってしかるべきと思うし、広域連合も要望している。一方、制度の中で曖昧なものをできるだけ排して、外形的にもう少し仕組みをきちんとしたものとする、医師の同意、往療のあり方、支払い請求書の様式について、曖昧とした部分を排する方向で制度を改善して、あはきについてより良いものにしていきたい。
〇療養費は保険者がやむを得ないと認めた場合に支払う、償還払いが原則。高齢者の利便性ということで変えるのであれば、法律を変えることまで考えるべき。柔道整復は、過去、整形外科が少なかったという経緯等があって例外的に受領委任が入れられているが、指導監督が機能していない実態があり、不正の温床になっている。不正の温床となっているものをあはきで制度化することを議論していること自体、まかりならない。
〇高齢者が増えてくると、治らない疾患をおもちになる場合があり、治療というよりも、緩和や、QOL・クオリティー・オブ・ライフを保っていくということになる。注射や投薬よりも、関節と筋肉の緩和をしていただいた方がいい方もいらっしゃる。ただ、一般的な医療と違って、PDCAサイクルがうまく回っていないので、医師と話をして、適切なときに評価をして、続けるのか、続けないのかということを現場でやることが大事。そうすれば過剰な施術は多分行われない。柔道整復、はり・きゅう、あん摩マッサージの患者は違うことも踏まえて、契約、処罰、管理など、システムを見直していかないと、議論ばかり続いて困るのは患者となる。
〇受領委任制度を検討するには、以下の(1)~(4)を明確にクリアできなければ、入れることはできない。
(1)療養費の支給は、療養の給付の補完的な役割を果たすもの。償還払いが原則。
(2)受領委任払いは、これを認めても弊害が生じる危険性が乏しく、認めるべき必要性・相当性があるなどの特別の事情がある場合に限って認められる特例的な措置。
(3)受領委任払いは、不正請求や業務範囲を逸脱した施術を見過ごす危険性が大きい。
(4)具体的にいかなる支給方法にするかについては、保険者の合理的な裁量に委ねられている。
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