【第1回人事・労務ルール作り】入り口でもめないための採用ルール
新連載「成長する鍼灸接骨院のための人事・労務ルール作り」スタート! 本連載では、社会保険労務士で株式会社はた楽の代表取締役の佐藤東様に、人事・労務作りを整えていくポイントを全6回に分けて解説いただきます。皆様ぜひご期待ください。
入り口でもめないための採用ルール
新連載「成長する鍼灸接骨院のための人事・労務ルール作り」スタート!
本連載では、社会保険労務士で株式会社はた楽の代表取締役の佐藤東様に、人事・労務作りを整えていくポイントを全6回に分けて解説いただきます。皆様ぜひご期待ください。
記念すべき第1回のテーマは『入り口でもめないための採用ルール』です。新しい人材を雇用する際に、思いもしなかったトラブルが発生した経験はございませんか。トラブルが発生したら先生ならどうしますか?
第1回 入り口でもめないための採用ルール
入社から入社後3ヶ月までの時期は、院と新入スタッフとの関係が安定せず、特にトラブルが起こりやすい時期です。「これから!」と見込んでいたスタッフの突発的な退職や訴えによって、せっかくかけた採用コストや労力が水泡に帰すことも…。
逆に、入り口の段階で当院の考え方を理解してもらうことで、不幸な行き違いやもったいない退職を防ぐことにつながります。
【事例】こんなときどうする!?せっかく採用したのにすぐ退職するスタッフ
入社して2ヶ月が過ぎた柔道整復師の浅田さん(仮名)。表面的には何の問題もなく働き始めていた矢先、突然「辞めたい」との打診。院長も「頼りになる」と感じていただけに、がっくりきている。
離職理由については、「家の都合で…」としか語らなかったが、どうも伝え聞く話によると、「この院に長く勤めるイメージが持てなかった」とのこと。具体的には、入社時に『契約書』なども取り交わしておらず、院長の『口約束』だけで採用が決まった。
しかし、今後長い目で見たときに、院長の気分次第ですべての労働条件が決まっていく雰囲気に、違和感があったようだ。浅田さん個人の問題というより、実は院のスタッフ全員が感じている根深い問題でもある。
必須対策・+αワンポイント
【必須対策】労働条件の提示・誓約
人を雇い入れる時は、定められた労働条件を書面にて本人に渡さなければなりません(労働基準法第15条)。
法定の要件を踏まえた書式を用い、社員・アルバイトなど雇用形態に関わらず、誓約書を提示のうえ、本人の署名・捺印をもらいます。
労働基準法第15条(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
○2 前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
○3 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
院(会社)から雇用条件を提示する一方で、本来は、スタッフにもさまざまな義務や責任が発生します。特に重要なのは、「副業」「競業」「情報守秘」「損害賠償」等について、契約書とは別紙で、入社前に誓約を交わしておく必要があります。
【+αワンポイント】「試用期間」も明記しましょう
入社して間もないスタッフの雇用でもめがちなのが、期待外れだった人の扱いです。「いまいちだから明日から来なくていいよ」とはさすがに言えません。そこで一般的には、見極めをする期間(試用期間)を必ずおいておきます。予め試用期間を設けておくことで、雇用継続か否かのスムーズな意思決定(合意)がしやすくなります。
第1回「入り口でもめないための採用ルール」はいかがだったでしょうか。安定成長を目指す鍼灸接骨院にとって不可欠な人事・労務ルールは、会社のルールブックである『就業規則』とその関連書式により整えます。本連載では、引き続きそのポイントを解説していきます。
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筆者:株式会社はた楽 代表取締役 佐藤 東
著書に「成果主義人事・賃金システム」(中央経済社)、「やる気を起こさせる!目標設定と面談の技術」(アイ・イーシ^)。最近の寄稿に「育成できる評価者&自律する被評価者の作り方」「社内起業家人材の育成法」(ともに月刊人事マネジメント)などがある。
「会社と社員の成長に不可欠な評価制度の作り方【佐藤東】」「デフレ時代に対応する報酬制度の作り方【佐藤東】」などで制度導入のノウハウをDVD解説も行っている。
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